助成事業活動の概要
1.学術研究助成事業
(1)一般公募による研究助成
この助成は、米麦その他主要食糧等を原料とする食品の加工技術、品質保持並びに安全性、栄養・機能性等の食品科学の研究を行う研究者及び研究グループに対し、研究助成金を交付し、研究の推進、学術の増進等を図るもので、研究助成は、個人研究と共同研究の2種類に区分されている。
毎年7月に、食品化学、食品工学、食品衛生学、栄養学、調理学等の講座を有する全国の国・公・私立大学並びに付属研究所あてに募集の案内と学(部)長の推薦を依頼し、10月末に締切る。受理した応募申請書は、その研究課題と取り組み内容の審査選考を選考委員会にお願いし、そこで採択された助成候補課題(助成申請者)について理事会に諮り助成対象者と助成額が決定される。
1件(研究課題)当たりの助成金は、個人研究が100万円~200万円、共同研究が200万円~500万円の範囲で申請額を基に内容審査により決定される。
近年の助成状況をみると、毎年42件~48件程度の採択となっており、その1件当たり平均助成金額は、個人研究で150万円前後、共同研究で350万円前後となっている。平成22年度は、応募申請書96件(個人研究78件、共同研究18件)を受理し、選考委員会の審査・選定等を経て「米糠中に存在するインバリアントNKT細胞新規ナチュラルリガンドの同定と機能性食品の開発」(群馬大学医学部教授 江本正志)等48件(個人研究42件、共同研究6件)の研究課題に対し、総計9,000万円の助成金が対象研究者に贈呈された。
(2)特定研究助成
当財団が対象とする食品科学の分野で、食品産業の振興、発展にとって重要と思われる研究課題の中から、早急に取り組む必要性の高い研究課題を選定し、その課題の研究に適した研究者を特定して助成を行うもので、毎年2件程度、500万円内外の助成を行っている。
平成22年度の研究課題としては、「スナック菓子類製造におけるアクリルアミド(AA)生成量低減化に関する研究」(お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科教授 鈴木恵美子ら)に対し200万円と他1件が助成対象となっている。
(3)外国人留学生研究助成
当財団が指定する研究分野の食品科学の研究を行っているアジア諸国からの私費留学生(博士課程の大学院生)を対象とし、農学生命科学、応用生物化学、食品栄養学等の講座を有する全国の大学院の研究科の指導教授に対し募集を行い、応募課題を選考し、理事会で決定する。1件当たり100万円内外の助成金で、近年の実績は毎年3~7件が採択されている。出身国別では、中国、韓国からの留学生が多く、続いて、タイ、インドネシア等となっている。
平成22年度は、中国、韓国、ラオス、タイからの留学生7名が、助成対象者に決定された。
2.研究者の国際交流援助事業
(1)研究者の海外派遣援助
この援助事業は、海外で開催される当財団が指定する研究分野の国際学術会議に自費出席し、研究発表等を行おうとする研究者を対象に所属の学会長の推薦を条件に募集を行い、開催国までの旅費等を勘案して、1人50万円を限度としてその旅費を援助するものである。近年の実績は毎年3~6件で、合計90~180万円の援助を行っている。
平成22年度は、3名の研究者(米国、欧州等への派遣)が対象となっている。
(2)国際会議に対する援助
この援助事業は、当財団が対象とする研究分野の国際学術会議がわが国で開催される場合に、その運営費の一部として資金援助するもので、1件当たり50万円内外で、会議の規模等を勘案して援助額を決定し、当該組織委員会に援助するものである。近年の実績は毎年2~4件の援助となっている。平成22年度は、援助対象4件となっている。
3.学術研究以外の助成事業
当財団の設立の趣旨及び目的に適った事業で、1..の助成対象に含まれない学術研究以外の研究、調査等の事業を行う者又は機関に対し助成を行うものである。
これまでの助成対象としては、食品科学関係学会の学会賞の副賞充当資金の助成や食品の安全衛生指導事業に対する助成、視覚障害者の食生活支援事業への助成、公益法人による食糧・食生活に関する研究調査事業への助成等で近年は毎年12~16件に対し2,300万円~2,700万円の助成を行っている。
平成22年度は、12件を対象に2,300万円の助成を行っている。
4.飯島食品科学賞及び技術賞の贈呈
飯島食品科学賞は、食品科学、特に米麦その他主要食糧を原料とする食品の加工技術、素材、品質、安全性、その他に関する学術上特に優秀な研究業績が認められ、なお活躍中の研究者を対象に、賞状,賞牌のほか研究奨励金500万円を贈呈する事業である。
また、平成19年度から、本賞のほか「技術賞」が加えられた。これは、上記研究分野に関し、実用的に高く評価される技術開発に優れた成果・業績が認められる研究者・研究グループを対象に賞状、賞牌のほか研究奨励金100万円を贈呈するものである。
食品科学関係学会長及び当財団の理事・評議員から推薦された受賞候補者について、選考会議の審査を経て、理事会で決定される。これまで飯島食品科学賞は12名、技術賞は8件(17名)の研究者が受賞している。
飯島食品科学賞受賞者
| No | 年度 | 所属・氏名 | 研究課題 |
|---|---|---|---|
| 1 | 平成2年度 | 聖徳大学短期大学部 教授 田中 康夫 |
パン生地醗酵及び耐冷凍パン酵母に関する研究 |
| 2 | 平成4年度 | 横浜国立大学工学部 教授 矢野 俊正 |
多孔質食品の物性における特異挙動の解析と多孔質食品形成に関する操作論的研究 |
| 3 | 平成6年度 | 大妻女子大学家政学部 教授 加藤 博通 |
食品成分間反応に関する食品科学的研究 |
| 4 | 平成7年度 | 鹿児島大学農学部 教授 檜作 進 |
澱粉科学に関する基礎及び応用研究 |
| 5 | 平成11年度 | 昭和女子大学大学院 教授 島田 淳子 |
「米と小麦に関する調理科学的研究」ー調理過程における物性変化とおいしさの定量的把握ー |
| 6 | 平成15年度 | 名古屋大学大学院 生命農学研究科 教授 大澤 俊彦 |
植物性食品に含まれる抗酸化成分の化学と機能解明 |
| 7 | 平成17年度 | 鹿児島大学 理事 副学長 竹田 靖史 |
澱粉の分子構造と物性の解明に関する研究 |
| 8 | 平成19年度 | 九州大学大学院 農学研究院 院長・教授 今泉 勝己 |
植物起源食品成分に関する脂質栄養学的研究 |
| 9 | 東京大学大学院 農学生命科学研究科 教授 北本 勝ひこ |
穀物加工に使用される麹菌の分子生物学的研究 | |
| 10 | 平成20年度 | 東京大学大学院 農学生命科学研究科 教授 清水 誠 |
食品成分の特性と腸管における機能に関する研究 |
| 11 | 平成21年度 | 東北大学大学院 農学研究科 教授 宮澤 陽夫 |
食品ポリフェノール吸収代謝と抗酸化機能に関する研究 |
| 12 | 平成22年度 | 徳島大学大学院 ヘルスバイオサイエンス研究部 教授 寺尾 純二 |
食品抗酸化物質の生体利用性と活性発現機構に関する統合研究 |
技術賞受賞者
| No | 年度 | 所属・氏名 | 研究課題 |
|---|---|---|---|
| 1 | 平成19年度 | (独)農研機構食品総合研究所 食品素材科学領域 領域長 大坪 研一 |
PCR法による米のDNA判別技術の開発 |
| 2 | 松谷化学工業株式会社 研究所 取締役副所長 大隅 一裕 (外3名) |
難消化デキストリンの開発 | |
| 3 | 山崎製パン株式会社 専務取締役 丸岡 宏 (外3名) |
国産小麦100%使用した食パン製造技術の開発 | |
| 4 | 平成20年度 | (独)農研機構食品総合研究所 食品バイオテクノロジー研究領域 酵素研究ユニット長 北岡 本光 |
ヒトミルクオリゴ糖によるビフィズス因子と推定されるラクトNビオース製造法の開発 |
| 5 | 平成21年度 | 築野食品工業株式会社 取締役副社長 築野 卓夫 (財)わかやま産業振興財団 谷口 久次 |
米糠副産物からのフェルラ酸の製造技術の開発 |
| 6 | 平成22年度 | (独)農研機構食品総合研究所 食品分析研究領域 非破壊評価ユニット長 河野 澄夫 |
近赤外分光法による穀物品質の非破壊評価に関する研究 |
| 7 | 九州大学大学院 システム情報科学研究院 主幹教授 都甲 潔 株式会社インテリジェントセンサーテクノロジー 代表取締役社長 池崎 秀和 |
味認識装置の開発と味のものさしの確立 | |
| 8 | 独)農研機構食品総合研究所 食品工学研究領域 領域長 五十部 誠一郎 株式会社タイヨー製作所 常務取締役 小笠原 幸雄 |
微細水滴含有過熱水蒸気(アクアガス)を核とした高度加熱システム技術の実用化 |
以上が、当財団が行っている助成事業等の概要と平成22年度の実施状況であるが、これらの助成に対し、毎年助成対象者から研究成果の報告を受け、これを纏めて財団年報として発行し、関係方面に広く配布している。
また、この成果報告の中から数名の研究者を選んで成果発表を行うとともに併せて著名な食品科学者による特別講演を内容とする学術講演会を毎年秋に開催しており、毎回300名を超える出席者となっている。
第23回学術講演会の特別講演は、平成21年度に飯島食品科学賞を受賞された、東北大学大学院農学研究科の宮澤陽夫教授と技術賞を受賞された築野卓夫 築野食品工業株式会社取締役副社長による受賞記念講演として行われた。
当財団の助成事業は、平成22年度をもって事業開始より27年を経過し、累計の助成実績は、全体で1.716件となり、これに対する助成総額は30億8,600万円余に達したところである。
関係資料ダウンロード(PDFファイル)
>> 事業項目別助成実績(218KB)
>> 第23回学術講演会における演題、演者等(82KB)
>> 平成22年度学術研究助成金等助成対象者一覧(1.4MB)
